高齢者が憧れる死に方?ピンピンコロリとはどんなもの?

「早くお迎えが来てほしい」高齢者。
介護施設などで高齢者とお話をしていると、時々「早く死にたい」「明日にでもお迎えが来てほしい」という方に出会います。
言葉とは裏腹に、そうおっしゃる高齢者の方は、意外に明るい表情で、冗談交じりにそんなことを口にしているのです。
そして、高齢者同士で合言葉のようにこう言います。
「ピンピンコロリがいいなあ。」
高齢者が口をそろえて言う、ピンピンコロリとはいったい何のことでしょうか?
ピンピン生きてコロリと死ぬ。
ピンピンコロリとは、生き方、そして死に方をさしています。
生きているうちはピンピンと元気であって、死ぬときはあっという間にコロリと亡くなる。それが高齢者の憧れ、「ピンピンコロリ」です。
確かにピンピンコロリは理想的に感じますが、当たり前といえば当たり前。なぜわざわざそんな言葉ができたのでしょうか?
それは、今の日本では元気なうちに死ぬということが容易ではないからです。
現在日本では、介護を必要としない健康である期間の「健康寿命」と、実際の「寿命」との間に、男性で9.13年、女性で12.68年の差があるのです。(平成26年版厚生労働省白書)
健康でなくなってから命が尽きるまで、つまりピンピンとコロリとの間に、平均11年近くという長い時間がかかっているのです。
寝たきりになりたくない・お下の世話をされたくないの裏返し
ピンピンコロリは、自分自身が死ぬまでずっと元気でありたいという願望をあらわしているのですが、どうやらそれだけではないようです。
高齢者がピンピンコロリを口にする時、その裏側には、「寝たきりになりたくない」「家族や他人に下のお世話をされたくない」という気持ちが隠されているのです。
日本では、たくさんの高齢者が寝たきりの状態で最期の時を待っています。
中には、寝たきりであっても家族との生活を楽しんでいる方もいらっしゃるでしょう。しかし、寝たきりのまま生き長らえていることを苦痛に感じる方も少なくありません。
そんな「寝たきり」や「下の世話」をもっとも身近なものとして捕らえている高齢者だからこそ、「ピンピンコロリ」への憧れを口にするのではないでしょうか?
まずは、万一の時について話をするきっかけを。
実際の医療の現場から聞こえてくる声によると「ピンピンコロリが実現する確率はとても低い」のが現実のよう。特に、死ぬ直前までピンピンしているというのはなかなか難しいとのこと。
しかし、延命治療を望まない人も増えてきている今の時代だからこそ、家族がどんな最期を迎えたいと考えているのか、あらかじめ知っておきたいものです。
ピンピンコロリを実現させようと思っても、なかなか難しいことだけに、少しでも理想の形で最期を迎えることができるよう、前もって家族で話しておくきっかけを作ることができたらよいのではないでしょうか?
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