あの人みたいに介護できない・・・他人の介護と比べて思い悩まないで。
家族の介護をしている方の中には、うまく介護できないことで落ち込んだり、他の誰かと見比べて自分を卑下してしまう方もいらっしゃいます。ですが、介護の環境や方法は十人十色。あまり上を見過ぎないこともポイントです。

あの人は上手に介護ができているのに、なぜ自分にはできないのか。
家族会などで「どうして自分はうまく介護ができないのだろう」と悩んでいる方を見かけることがあります。
介護とうまくつきあうことが出来ている人の話を聞いていると、自分の介護が間違っているのではないか、自分だけがうまく介護できていないのではないか、自分の性格に問題があるのではないかと、つい考えてしまいがちです。
ですが、自分の理想通りの介護ができずに、イライラしたり落ち込んだりするのは誰にでもあることです。
今、うまく介護できている人でも、最初からうまくできたわけではなく、悩んだり苦しんだりしながら、少しずつ自分の介護方法を生み出してきているのです。
介護をする環境は、人それぞれ千差万別。
また、介護をする環境が、1人ひとり全く違うということも忘れてはいけません。
仕事を辞めることのできる人もいれば、辞められない人もいます。
育児をしながら介護もしなくてはいけない人もいます。
実の親と配偶者の親の介護が重なる人もいます。
自分自身や家族の病気と重なる人もいます。
配偶者や子供達が協力的な家庭もあれば、協力が望めない家庭もあります。
介護をする人と、介護を受ける人が遠距離な場合もあります。
同居ができる環境の人もいれば、同居できない環境の人もいます。
友人や同僚に相談できる人もいれば、誰にも相談できない人もいます。
簡単に挙げてみてもこれだけ色んな環境の方がいるのです。
「あの人は親を呼び寄せて介護をして偉いな。私にはとてもできない・・・。」などと思わず、「自分とあの人では環境が違うのだから、自分に出来ることをしよう。」と少し割り切った考え方をすると良いかもしれません。
介護を受ける親や配偶者の状況や、人間関係も千差万別。
介護をしている人の中には、「自分の親だけれど、どうしても受け入れられない。」「昔からの確執があって、心情的に許せない。」という理由から、介護がスムーズにいかない方もいらっしゃいます。
「昔から親らしいことをしてもらったことがないのに今さら・・・」
「散々好き勝手なことをしてきた主人の介護をするなんて・・・」
親子・夫婦の間柄で介護をする場合、心の中にわだかまりを持っていて、心情的に介護をする気になれないという場合もあります。
近い間柄だからこそ、許せないこともあるでしょう。いくら介護が必要な人であっても、介護を受ける本人にも原因がある場合もあります。
全く介護を放棄して放っておくことは、ネグレクト(介護放棄)という虐待行為にあたり、罰せられるので絶対にしてはいけません。
ですが、ある程度他人であるプロに介入してもらいながら、自分のできる範囲での介護をするのも1つの方法です。
介護をしていると、他の人と見比べて思い悩んでしまうこともあるかもしれませんが、自分の置かれた環境で、今自分にできることをしているなら、落ち込んだり苦しんだりする必要はないと思います。