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「認知症=何もわからない人」ではないのです

テレビ等で、認知症について多く取り上げられ、理解が進む一方で、まだまだ認知症と聞くと「頭のおかしい人」というイメージを持つ方もいらっしゃいます。ですが、認知症だからいって、何もかもわからなくなるわけではないのです。

投稿日時
2015年2月5日
カテゴリ
介護に役立つ記事
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笑顔の高齢者
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認知症で直前の記憶は忘れても、昔の事はよく覚えている。

10分前にご飯を食べ終わったところなのに、「お腹がすいた」と言う。
さっきトイレから帰って来たところなのに、またトイレに立とうとする。
直前まで会っていた人のことを覚えていない。

認知症になると、少し前にしたことや起こったことを忘れてしまいます。
新しいことも覚えづらくなり、初対面の人の顔や名前を覚えるのも難しくなります。

ですが、認知症の方であっても昔のこと、特に10代20代の若い頃の記憶というのはとてもよく覚えていらっしゃいます。
認知症の方に限らず高齢の方は、若い頃のことを良く覚えておられるので、会話の糸口にしてみてください。

認知症でも、一般常識を忘れたり読み書き計算ができないわけではない。

認知症を患っている方が、簡単な計算問題を解いていると驚かれる方もいらっしゃいます。
ですが、認知症になったからといって、読み書き計算ができなくなるわけではありません。家族の顔がわからなくなっても、足し算・引き算・掛け算などの計算問題は解けるという方も少なくありません。

また、一般常識についても同じことが言えます。
例えば、今が何月かわからない方でも、「梅雨の時期です。」というと6月だとわかり、「クリスマスです。」というと12月だとわかります。

認知症になると「できなくなったこと」に目が行ってしまいがちですが、是非「できること」にも目を向けてみてください。

記憶はなくても感情は残る。空気を読むこともできる。

家族が認知症になるとつい、「おばあちゃんは分からないから」「言ってもすぐ忘れるから」と考えてしまいがちです。
しかし、出来事に対しての記憶はなくなっても、感情はしっかり残るということがわかってきました。

例えば、誰かが言った言葉に対して、「馬鹿にされた」「怒られた」と感じた場合、「いつ、何を言われたか」は覚えていなくても屈辱を受けた感情だけは残ります。
そして、それが積み重なることで感情が爆発し、暴言や暴力など問題行動と取られる行動が起こる原因になります。

周りの人が、直接言葉で怒ったりしなくても、「どうせ忘れるから」という態度を取っているだけで、それを敏感に察知してストレスとして溜めこむ原因になります。

認知症の方と接する時には、「何もわからない人」ではなく「記憶に障害があるけれど、その他は一般の人と同じ」という気持ちで接するようにして戴きたいと思います。

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投稿者
山本 由美子
投稿日時
2015年2月5日
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