家族にお金を盗られた!と思い込んでしまう認知症の方への対処法は?
財布がなくなった!お金を盗られた!と思い込んでしまう、いわゆる「もの盗られ妄想」に陥ってしまう認知症の方は多くいらっしゃいます。特に、身近な家族を疑うことも多く、疑われた家族は情けなく悲しいと精神的に苦しい立場におかれてしまいます。この場合、どう対処すればよいでしょうか?

もの盗られ妄想とは?
もの盗られ妄想で多いのは、財布や通帳などの貴重品を自分で保管しているものの、認知症などで保管場所を忘れてしまい、なくなった=盗られたと思い込んでしまうパターンです。
特に、一緒に暮らしている家族など身近な人が疑われるケースが多く、中でも女性の場合、お嫁さんなど、より身近で言いやすい立場の人に集中することも少なくありません。
普段、一所懸命に介護をしているにも関わらず、お金や物を盗られたと言われると、悲しく悔しいものです。それだけで、介護の精神的負担が一気に増加してしまうのが、もの盗られ妄想です。
財布を盗られた!と言われた時、まずは否定をしないで!
財布を盗られた!と言いだしたとき、家族はどう対処すれば良いのでしょうか?
まず、ご本人にとっては、少なくとも財布がなくなってしまったことは事実です。
ですので、「誰も財布なんて盗っていない、自分でどこかにやったんだろう、どこかに忘れて来たんじゃないの?」などと、本人の言葉に対して、決して否定をしないでください。
代わりに、「財布がないなんて、大変だ!一緒に探しましょう!最後に見たのはいつ?」という風に、実際に財布をなくした人に対してかける声掛けをすることが大切です。
本人は財布がなくなって必死な想いをしているので、まずはそこに同意して、気持ちに寄り添ってあげることが大事です。
探すときは一緒に。必ず本人に見つけて貰う。
その後は、できればいったん落ち着いて貰いましょう。
パニックになっている時は、何を言い出すかわかりませんし、思いがけない転倒などの事故にあうかもしれません。
一旦座って話を聞いたり、温かいお茶を飲んでもらうなど、少しリラックスをしてもらいます。
その後、財布を探すときには、必ず本人も一緒に探してもらうことが大切です。
そして、もし家族が財布を見つけたとしても、分かりやすい場所に置き直して、必ず本人に見つけて貰います。
家族が見つけてしまうと、「自分が盗ったのを、こっそり返したんだろう」と余計な詮索を受けてしまうことがあるからです。
そして、財布が見つかった時には、「盗られたなんて言って、ここにあるじゃないか」と怒らずに、「無事に見つかってよかったね」と一緒に喜んであげてください。
予備の財布や、信用している人物をうまく使って。
財布を盗られた!と言っている時に、盗られた財布が出てこない時はとても困ります。
なので、あらかじめ一番大切にしている財布は預かっておいて、探す段階でこっそり見つけやすい場所に置くようにしたり、全く同じ財布を用意しておくのも良いかもしれません。
また、実の子どもや配偶者など、本人にとって絶対の信頼を置ける人がいるならば、その人に財布や通帳を預かってもらって、「無い」と騒ぎ出したら電話で「大丈夫、預かってるよ」と声をかけてもらったり、その旨を一筆書いてもらって、目につく場所に貼っておくなどの方法もあります。
人は誰でも、財布や通帳がなくなると不安になって当然です。
なので、信頼できる答えを用意してあげることで、安心させてあげてください。
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