介護イラストレーター群青亜鉛 の「自宅で介護お助けヒント集」 第18回(現在、全22回)
寝る姿勢を整える編(ポジショニングの入り口)2
楽そうに寝かせてあげたいのに伸びなくなってしまったその身体。ねじれて、曲がって、固まって。どうしたらいいのかわからん!と頭を悩ますご家族へ。

寝ている姿勢ひとつで拘縮は進む
寝たきりに近い状態で、自分から動くことがむずかしく、関節が固まってしまっていたりする方は、不自由そうで、どうやったら安楽に寝てもらえるのでしょう?ウチのジ様バ様は寝返りが打てるからまだまだ先やんとおっしゃる方も、早くから知り対応していたら拘縮(こうしゅく:後述)の予防が可能なのだとか。100歳を過ぎてから、まじめに対処を考え始めた家族の学びのカケラを。(日々の対応は特養の職員さんです、感謝!)
日常生活の姿勢全体を整える
脳梗塞の後遺症で片麻痺の残る祖母、介護認定の段階は5。円背は増す増す酷くなり、体が潰れてきた感じです。寝姿を整えることも大事と知ったのが1年半程前。それまでの私の関心ごとは、車椅子での座り姿勢と調整(車椅子シーティング)ばかりでした。
知人理学療法士さんが、マットレスと体の間にタオルやクッションで支えを作る処置をして下さった時に驚きました。祖母はとても楽そうな表情になり、すぐにスヤスヤ寝始めたのです。あらま!
自力で寝返りがうてない方は特に、寝る姿勢を含めた日常生活の姿勢全体を見直すことが大事なのだとか。でもその基準って何なんでしょう?(イラスト向かって左参照)
→参照記事 「第15回寝る姿勢を整える編」
施設入居でも、家族が出来ることが何かあるはず
関節の動く範囲が狭まってしまう拘縮は、動かす時に本人も痛くなり、介助者も配慮が増え介護がし辛くなります。一番困るのは清潔が保ちにくくなることでは。股関節や膝の拘縮が強くなると、排泄の介助に難儀します。
家族が出来ることは限られています。施設では多人数による共同介助でお任せになります。行く時は介助が出来ますが、毎日は難しい。いっちょかみな私は、聞きかじりの学んだ内容をあれや〜これや〜と提案させて頂いたりのうるさい家族なのですが、太っ腹で許容量の広い職員さん達が日常生活の中で無理なく出来る取り組みを継続して下さっています。同様に、在宅介護の場合でも、細〜く長〜く出来る対応が一番やと感じています。しんどいことは続きません。
拘縮進行は仕方ない?介護施設や病院の実状
「拘縮はしょうがない、知らない、放ったらかしは、介護施設ではよくあるアルアル話ですよ〜。」とは知人ケアマネさんより聞いたお話。 えっ?そんなものなの?
拘縮への対応は、介護施設の方針と共に、職員さんが入居者さんに対してより良い状態を目指しているか否か等でも異なり、施設により全く違うと聞きます。せっかく自力で寝返りが打てない方への拘縮の進行を予防したり、改善したりする技術が確立しているというこの現在なのですから、介護施設同様、病院でも看護師さんに寝姿勢を整えることの学びと実対応が進んで欲しいと思っています。特に高齢者の場合、入院中に拘縮が極端に進みます。入院前の状態に戻すのは至難の技。手厚い介護(座る姿勢や寝る姿勢を整える事もバッチリで、高度な技術を持つスタッフがそろい、細心の配慮)をしても難しいんちゃうん?と祖母の介護の経験から感じるからです。知識を少しでも取り入れていただけたら、、、。
安楽な呼吸のキーワードは横隔膜
「ねじれ、傾きがないように寝る姿勢を整えると、横隔膜が無理なく働いて腹式呼吸が出来て安楽になる。」両肩と骨盤を結んだ線でねじれのない四角形を作るように姿勢を整えるといいのだそうです。
横隔膜は呼吸を助ける働きをする大切な筋肉で、ふいごの様な役割をしています。 腹式呼吸で息を吸うときは、
- まず横隔膜が収縮して下がることにより、
- 肺に呼吸が入り
- 肋骨も広がる
のだとのこと。
息を吸うときは、横隔膜が上がるのと、肋骨が狭まるのが同時で、2番目に肺から空気が出るのだという。横隔膜が 効率良く下がるように姿勢を整えることが大事なんですって。(イラスト右参照)
胸や腹を圧迫したら呼吸できない、当然やん、と思ってはいましたが、理由を深く考えたことがありませんでした。横隔膜の動きを制限してしまうから、と聞くと納得出来ます。
寝る姿勢を整えることはポジショニングと呼ばれているそうです。ここに取り上げましたのはほんのさわりだけ、奥は深いです。どうぞ興味が湧いた方は調べてみてくださいね。まだまだ広まっていない現状のようですが、早くこの対応があたりまえになるといいですね。
そんな願いを沢山込めて、次回は「寝る姿勢を整える編」の第3回目を!
(記事アドバイス:理学療法士 大渕哲也さん)
満員御礼!ご報告
7月6日(日)第3回福祉用具体験会in西宮、無事終了致しました。 お越し下さった皆様、ありがとうございました。体験すると同時に楽しんで頂けましたでしょうか。
来場者は約200名。家族介護者やご本人が多かったのが嬉しく。「ニギニギ♪クッション手作り講習会」にもご参加頂き感謝! 次回をお楽しみに!