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介護のトピックス

介護イラストレーター群青亜鉛 の「自宅で介護お助けヒント集」 第14回(現在、全22回)

褥瘡(床ずれ)をもっての入院編

103歳が間近な祖母、褥瘡(床ずれ)を持ったまま、高熱により一週間入院しました。病気の治療が優先されますが、褥瘡悪化の不安が常に付きまといます。 マットレスは?体位変換は?寝返りが自分で出来ない方の入院時、家族が知っておくと余計な心配の減る経験談を。

投稿日時
2014年3月7日
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介護イラストレーター群青亜鉛「自宅で介護お助けヒント集」褥瘡を持っての入院編
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介護イラストレーター群青亜鉛 の「自宅で介護お助けヒント集」褥瘡(床ずれ)をもっての入院編

入院前の症状は?

年明けより体調不良だった祖母。入居中の特養では、微熱と平熱の間を約3週間フ~ラフラ。食事もむせと吐き出しが多くなり、点滴、痰吸引を何度も。更に仙骨部には新たな褥瘡が発生し、体位交換の姿勢をスタッフさんと共に試行錯誤。 果ては38度9分の高熱となり1週間入院。原因は高齢者によくある尿路感染でした。

体圧分散出来るマットレスがない?

病室のベッドのマットレスは一般的なタイプで硬過ぎでした。仙骨部の腫れが悪化するのではと看護師さんに褥瘡対応マットレスかエアマットに替えて頂けないか尋ねましたが、全部出払っていてないとの返答。じゃ、どうしたらいいの?

慌てふためく家族。

家族は家族で幾つか策を考えます。特養にも借りられないか問い合せ、感染等の恐れがあることもあり不可との返答。病院の相談員、ソーシャルワーカーさんに対応策を尋ねましたが、調べてみないとわかりませんとの返答に、むむむ?

院長先生の鶴のひと声で、即チェンジ?

詰所に連絡してもらうと、既に電動エアマットが入っているとのこと。午前中院長先生の回診があり即来たのよ、と母。「こんなことは今迄なかったんですよ~♪」 と看護師さんはおっしゃったそうだが、そんな采配一つで変わるような曖昧なものなの?

恩恵?否、病院が準備するものである。

知人に電話で相談すると、褥瘡を持った人、あるいは危険因子のある患者には、病院側が対応出来るマットレスを準備することになっているみたいね、と調べて下さった。

(問)各保険医療機関において体制を整備しなければならないとされている褥瘡対策について、体圧分散マットレス等の必要物品は、必ず保険医療機関が購入しなければならないのか。
(答) 体圧分散マットレス等の褥瘡対策に必要な物品については、レンタルやリースでも差し支えないが、その費用については保険医療機関が負担するものであり、褥瘡に関する危険因子のある患者及び既に褥瘡を有する患者の発生時に速やかに使用できる体制を整えておくこと。(参考資料:日本褥瘡学会 平成24年度診療報酬改定における褥瘡項目関連の指針p12より抜粋)

うーむ。知ってないと本当の処がどうだったか分からぬままでした。退院後、明細書はしっかりチェック致しました。 褥瘡関連での加算はありませんでしたが、ちゃんと交渉出来るように知識は必要であると痛感。

病院での体位交換、ビックリするほどかなり雑。

浴衣状寝巻きの四方を持ち上げての移動。拘縮箇所に無理やりクッションをねじ込んで行くやり方には、毎回ヒヤヒヤ。気になった時は直しました。

家族の介護力で雲泥の差が出る現実。

家族あるいは付き添い人に介護知識のあるなしで、入院時の環境はかなり変わってきます。非難する訳ではなく現実です。病院は治療の場というのはもっともですが、任せっぱなしだと、次のようなことが起こることがあるそうです。

入院すると、褥瘡になって帰ってくる?

介護職の方のお話です。自力で姿勢が変えられない方が入院すると、踵にずるずるの褥瘡を持って帰って来られることが多いのだとか。病院の糊が効いた堅いシーツは皮膚が擦れて荒れる原因になるそうで、素足のままは危なく、靴下を履かせる方がいいそうです。(イラスト参照)

「踵に出来た褥瘡部には、ぺたりと保護フィルムを貼って帰されるの。」栄養状態が悪くなると褥瘡になり易く一概には言えませんが、入院時にはかかとにご注意下さい。他の仙骨部はオムツ交換等で必ず見るので新しく出来ことは少ないのだそう。

退院後の特養での、マットレス&体位交換

入院前敷いていたものより柔らかいタイプにして頂きました。上向きに寝ても褥瘡のある仙骨部が痛くない様子。主任さんと改めて相談し、体位交換は右→左→上向き、と順番に、一方向だけが多く偏らないようにして頂くことに。家族、介護士さん、看護師さんの連携は大切ですね。

予め入院中に起こりやすいことを知っトクと対処が早い。

本人が健康な時は介護がスムーズに捗りますが、体調悪化し医療的措置が必要になるととたんにマイナスのスパイラルに陥ります。今回の内容は、是非、頭の片隅に。イザという時思い出して頂ければと思います。

著者プロフィール

群青亜鉛ぐんじょうあえん

関西在住のイラストレーター。
孫の立場で祖母に”いっちょかみ介護”し続け22年目。「明るく面白く介護のお知恵は知っとく方が絶対イイ!」がモットー。
介護のいろいろをウェブ・書籍・セミナー・講座等で継続発信中。

HP
http://gunjoaen.com/
群青亜鉛
投稿者
群青亜鉛
投稿日時
2014年3月7日
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