介護イラストレーター群青亜鉛 の「自宅で介護お助けヒント集」 第11回(現在、全22回)
食事介助で気をつける事2 食事の姿勢
食事に関する無謀なシリーズ第2回目。今回は食事の姿勢 についてです。祖母の食事介助では、毎回いかに飲み込みのし易い姿勢に座ってもらうかで、四苦八苦しています。吐き出しや咽せ込みがひどく、今回は食事は無理ね!と投げ出しかけた時に、座り直しをし姿勢を正しただけで、スイスイ食べられる様になったという事は何度もあります。食事の姿勢は大切ですね。

やっぱり刺激が大事です
祖母は特別養護老人ホームに入所中の102歳。皆様、くれぐれもお尻に傷は作らない様にして下さい。お尻は座るのにも大切な箇所です。治療を優先すると生活に支障が出て来ます。近頃は車椅子に座る時間を増やしてもらい意識もハッキリしてきました。入居中の方があちこちでワイワイ会話をしてはるのも静か過ぎず適度な刺激があり安心しています。さて、本題です。
口の中には舌の坂があった?!
「うちのおじいちゃんいつも下を向いて食べ難そう。」と日頃お感じの方、正解です!
いきなりですが質問です。食事中の口腔内の傾きはどんな位ですか?唇と耳の穴を結んだ線が舌の坂、口腔内の角度なのだそうです。えっ?うつむき加減で90度?それは断崖絶壁の斜面ですね。
じ様ば様の舌のベルトコンベヤーの動きは微弱ですからそんな坂道登れません〜!咀嚼した食事が喉の奥まで送り込めないという訳です。この舌の事がわかった時、私は目からウロコな衝撃でした。(イラスト右中 参照)
自分でもやってみよう。じじ様ばば様になり切る!
「なんでこんなに食べ難そうなン?」と思った事のある方は、じ様ば様と同じ姿勢で食事をしてみるのが一番です。真似ると気づける事があります。
さて次は手軽な方法で貴方も即ジジババに。(イラスト左上参照)立位で両膝に手をつき、膝曲げ、背中曲げ、正面を見て下さいませ。野球の外野手の構えをすると、円背じじ様ばば様張りの姿勢になれるのだそうです。次にその姿勢を保ったまま、喉を伸ばして一気にペットボトルから水を飲んでみましょう!グイッとなっ!
飲み込みやすい首の姿勢がある。
いかがでしょう?ゲホン、ゲホゲホと、咽せて飲み込めませんよね。喉が伸び切っていると難しく、頷いて飲み込まなきゃ無理の様です。目の前のじ様ば様の喉元も、もしかして伸び切っていませんか?
じ様ば様も私達と同じく顎を引き、頷いて初めて飲み込めるのですが、その時の舌の坂の傾きはどんなもんでしょう?急で断崖絶壁ですよね。ということはワカモノはパワーで飲み込めても、じ様ば様は送り込みが難しく飲み込めないという訳です。唇を閉じる力が弱いと口からもこぼれてしまいます。
頷き姿勢と足を床に着けての前傾姿勢
飲み込みの最中、私達は前傾姿勢になり、足の位置は少し後ろに引いています。
(イラスト左下参照)飲み込みやすかったり飲み込みにくかったりするのは僅かな頷きの差で、指3本分位の違いでしかないのだそうです。飲み込みやすい頷きの前傾姿勢を保つには、足がしっかり床について体を支える事が大事なのだとか。
円背ジジ様ババ様は、既に背中が丸く前傾になっています。その姿勢から指3本分頷くと、下を向いてしまい、送り込みが難しくなる、という訳なのです。対応としては、舌の角度が出来るだけ水平に近づく様に姿勢を作るといいのだそうです。でも、耳穴より口が高くなるのは危険で、そして頷きは出来る様に、、、。(この姿勢を作るのが難儀なんですが!)(イラスト右中参照)
テーブルや椅子(車いす)の高さはどうでしょ?
その他テーブルや椅子が高過ぎていませんか?(イラスト右下参照)
祖母の場合も車椅子取り付けテーブルが高過ぎて、スプーンを持った手が口元まで上手く運べていませんでした。今は、肘置きに置いた肘を支えにして食べていますが、同じ姿勢をとってみるまで気づかなかったのです。 その他、テーブルが高いと食器の中身が全く見えていなかったりします。肝心な事が見落とされているのかもしれません。
次回〜食事介助で気をつける事3 食事の姿勢に続きます。
(記事アドバイス:理学療法士 大渕哲也さん)