介護イラストレーター群青亜鉛 の「自宅で介護お助けヒント集」 第10回(現在、全22回)
食事介助で気をつける事編
無謀にも今回から3回に分けて、食事に関する事を扱ってみようと思います。まずは食事の形状などを含めて思う事をつらつらと。特別養護老人ホームに入所している祖母の食事介助を時々していますが、毎回試行錯誤の連続です。現在進行形の気付きや発見、学びをここに。

飲み込みがしんどくなってきている祖母
祖母は、102歳と7ヶ月を過ぎ、要介護度5です。近頃飲み込めず吐き出す事が多くなりました。食事介助が上手い中心介護者の母でさえ介助に難儀することが増え、家族は気持ちが疲れています。
食事の形態はミキサー食。とろみ具合と粘度は、マヨネーズ位が丁度良く喉元まで送り込まれ、むせずに飲み込めます。吐き出す原因は一概に断言出来ず、様々な要素が絡み合うように思えます。
なんで吐き出すのよう〜?
むせる・吐き出す等で食事が捗らない時は、本人も疲れますし、介助する側も本当に気持ちがしんどくなります。日頃次のようなことに気を付け、考えながら食事介助をしていますが、皆さんはいかがですか?
- 体調はどう?悪いのかも?(入浴疲れ。イベントや外出疲れ。夜でお疲れ。便秘。風邪。過去の経験から、脳梗塞の再発?病気。)
- 座りの姿勢が飲み込むのに適しているかな?(吐き出す時は、座り直しをする事も多い。)
- 疲れない程度に、口の体操。食事前の口腔体操や挨拶等で声を出してもらう。
- 食事が合ってる?(食事のとろみ具合はどう?メニューの好き嫌い・スパイスの効き過ぎ?酢は効き過ぎてない?食事のちょっとしたツブツブが喉に引っかかる?味が合わない?)
- とにかくいちいち食事の説明や、声かけをしながら。食事中の居眠りもあり、手を触ったり耳からの刺激や匂いを嗅いで貰うのは必須〜。
食べる一連の動きって?
元気な私達は食べる一連の動作が無意識に出来ていますが、内容は高度で複雑です。
目で見て、鼻でも匂いを感じて、食べ物がここにある、と認識して、スプーン等ですくって取り入れて、嗚呼その前に口も開かなくっちゃだめネ、咀嚼して、食べやすい形状になった食塊(しょっかい)を喉の奥に送り込む。送り込みが上手く入ったらようやく飲み込んで等々、、、。
食事は細かいだけでもダメで(口の中でばらける)、柔らかければいいというものでもないそうです。口の中で、ある程度のまとまりの良さや、粘り着きが必要な様子。
吐き出す時は、飲み込み(嚥下)に行くまでの問題で、送り込みをし損ねた時に吐き出してしまうのだとか。口腔内の機能が上手く働き、送り込みが上手く行くことも大事な要素なのですね。
食事では、なんで体力を使うの?
さて、1回の食事では凄く体力を使うのだよとよく聞きますが、なぜでしょう?
一番の理由は、「飲み込むときは息を止めているから」だそう! おおっ!!
一食を完食する中で、何十回も嚥下をする。ということは、何十回も瞬間的に息を止めているということで、特にご高齢の方は終わり頃にはくたびれ果てているのだそう。リラックスしている状態が大事で、それではじめて、咀嚼嚥下しやすいスタートポジションなのだとか。食事前の呼吸が整っていないと、息苦しくなり最後まで食べられないのだそうです。介助者は呼吸の見守りを忘れずに〜。
ボキャブラリーの補充にいかが?
思いついたことは、なんでもかんでも言葉にして声かけしてみて下さい。声かけはやっぱりいい刺激!よろしければこちらも、、、。「しんどなってきた?そりゃそうよね〜飲み込む時は息止めてるんやもん!何十回も息止めているから、しんどくなるのは当然よ〜。」
以上、食事介助の時の参考にして下さい。
次回は「食事介助で気をつける事2 食事の姿勢」をお送り致します。
(記事アドバイス:理学療法士 大渕哲也さん)
Anatomy and physiology of feeding and swallowin
1.咀嚼-嚥下 1.mastication-swallowing
監修:愛知学院大学 牧野日和さん
イラスト:群青亜鉛 http://gunjoaen.com
出典ウェブページ:wp.me/p1LeQ6-4xW
(イラスト加筆修正 : 2015年5月7日)