ランニングで認知症の方と触れ合い、解り合えるイベント「RUN伴」
ただ走るだけで、誰かの役に立てる。 そんな素敵なイベントをご存知ですか? RUN TOMO-RROW、略して”RUN伴(らんとも)”と呼ばれる、認知症についての知識を広めるランニングイベントです。

認知症を”ジブンゴト”と感じるために走る
2012年厚生労働省の発表で認知症の方は全国462万人にのぼると発表されました。
”もしも、家族や自分自身が認知症になったら・・・”そんな心配はもはや他人事ではないと感じておられる方も少なくないのではないでしょうか。
RUN伴は、認知症をまさに”ジブンゴト”として捉えて貰うためのランニングイベントです。
認知症の方は勿論、ご家族やサポーター、一般の人が同じタスキをつけて長距離を走る、というシンプルな企画が受け、毎年参加人数と走行距離はグングン伸びています。
今年2014年は、帯広から広島まで2200人がタスキを繋ぐ予定です。
RUN伴を主催するNPO法人認知症フレンドシップクラブの願いはただ1つ、「認知症の方でも安心して暮らしていける地域を作る」ことです。
そのために地域で暮らす人に、認知症の方・ご家族も同じ地域で一緒に暮らしているのだと知ってもらうことを目的にイベントを行っています。
走ることで得られた地域の理解。
実際にRUN伴のイベント開催を重ねるうちに、少しずつ理解の輪は広がっているようです。
イベント参加に合わせて認知症の講習会を開く、参加後に職場で認知症への理解を共有する勉強会を実施するなど、走ることから実際の活動へも繋がりをみせています。
また、RUN伴に参加した子ども達からも
「おばあさん達が笑顔で迎えてくれて嬉しかった。これからはお年寄りを自然に助けられる人になりたい」
「認知症になったら悲しくなるイメージだったけれど、明るく強く立派に生きている人がいて、その姿がすごく自分の中に残りました。」
などのメッセージが届き、子どもたちが認知症を学ぶ機会にもなったといいます。
これからの地域を作っていくであろう子供達の意識を変えることは大切だと感じました。
走ることで認知症の方も笑顔になれる。
RUN伴に参加して変わったのは地域の方だけではありません。
認知症のご本人やそのご家族にも大きな変化があったといいます。
実際にイベントで走った認知症の方からは、「応援してもらって元気がでた。楽しく走れたのでまた参加したい」と話す方が多くいらっしゃいました。
また、実行委員の方も
「言葉で表現されない方も一緒に手をふったり笑顔になったりと、職員の方や地域の人と一緒に野外を歩いたり走ったりしたことで活き活きされている姿が印象的でした。」と仰います。
認知症であっても胸をはって生きていくこと。
このイベントに参加された方の中には、「参加することで自信が出て、認知症であることを周囲に話せるようになった」という方もおられます。
ただ走るという単純明快なこのイベントが、認知症の方にもたらす効果は多大です。
しかしそれは逆に、普段認知症の方が地域の中に混ざることがいかに難しいかを示しているようでもあります。
それは、受け入れる地域の問題でもあり、あるいは外に出ることを諦めてしまうご本人やご家族の意識の問題でもあるのかもしれません。
同じように息を切らせ、汗をかいて走ることで両者の隔たりが消え、ただ汗にまみれた人間同士になります。これこそが、ランニングイベントRUN伴の価値なのだと感じました。
認知症であってもなくても、ただ皆がゴールを目指して走る。
そんなRUN伴で、あなたも共に汗をかいてみませんか?
(写真提供:認知症フレンドシップクラブRUN伴2014年実行委員会)